「うつ かもしれないと思ったら・・・」
当診療所には(精神科ではない)一般病院で
『うつ病』と診断され、
「できれば抗うつ薬を飲みたくない」と、
来院される患者様が少なくありません。
問診を進めていくと、その多くの患者様は
私生活で重度のストレスがあり、いわゆる
『うつ状態』である事が多いです。
これは『うつ病』とは大きく異なります!
この時、当診療所では、
まず『うつ病』と『うつ状態』の違いの説明
から始まります。
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『うつ病』は<内因性疾患>で、
コップの中にポタポタ溜まっている水が、
ある日、急に こぼれるように発症します。
何が その原因になるのか分からず、
その引き金が、例えば「昇進」「結婚」など
普通の人なら苦痛と感じない事を、
「昇進したら責任感が増えるから、もっと
ちゃんとした人間にならなきゃ・・・」
というように考えてしまうのが特徴です。
一方、
『うつ状態』は<外因性疾患>で、
これは 実は『うつ病』ではなく『神経症』
と言われる病気なのです。
ドイツ語で言うと『ノイローゼ』。
『育児ノイローゼ』というように、
過剰なストレスによって うつのような状態
になってしまうんです。
これは、
心的外傷後ストレス障害(PTSD)や
急性ストレス障害(ASD)、適応障害などに
分別されますが、結局のところ、
『原因』があって『結果』が起こるのです。
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(原因となる)ストレスに対する反応は、
もちろん 個人差があります。
では、その個人差って何なんでしょう?
よく、お節介(?)な方が、
うつ状態で悩んでいる知り合いに対して、
「何で そんな事で悩んでるのよ!」と
アドバイスする光景を見た事ありません?
この悩み事を『そんな事』と思ってるのは
あくまで、お節介さんの主観であって、
決して悩んでる人では無いんです。
悩んでいる方からすると、
「あの人が『そんな事』と思うような事を
いちいち気にして落ち込んでしまうような
私って、人間として おかしい のかも?」
などと考えてしまい、却って、その人の
逃げ場所を奪う事になりかねないのです。
(その行為は、本当に お節介なんです。)
私は この様に悩んでおられる患者様には、
まず初めに、必ず こう言います。
「あなたの悩んでいる事は、
決して『そんな事』では無いんですよ。」
「あなたは、他の人よりも悩みの感受性が
大きいだけなんです。」
「例えば、他の方が-10点に感じる事を
あなたは-100点に感じているのかも
しれませんが、他人は関係ありません。
あなたが-100点のダメージを受けている
のだから、-100点のダメージを回復する
ような治療をすれば良いんです。」
(本当の)うつ病なら、
西洋薬による薬物治療に頼るところが大きい
のかもしれませんが、
神経症(うつ状態)なら、
薬物治療以上に、休息をとるのも重要です。
良く寝て、良く食べて、 精神も肉体も体力をつける必要があります。
だから漢方薬を おススメしたいんです。
この文を お読みになられて、
もし ご興味持たれたら、
是非、漢方の力を試してみてください。
2012/12/29更新
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