生理痛と漢方

生理痛の原因

生理痛の原因の大部分は、剥がれた子宮内膜を外に押し出すために子宮が収縮することで引き起こされると考えられています。

その変化には「プロスタグランディン」というホルモンが関係しています。
このホルモンは、本来、出産時に大量に分泌され、子宮が収縮することで陣痛を起こして赤ちゃんを出産させようとします。
生理直前や生理中にこのホルモンが多く分泌してしまうような体質の方は、その結果、子宮の収縮が強くなり、陣痛に似た痛みが起きるのです。

また、出産経験のない、特に10代から20代前半の若い女性は子宮口が成熟していないために痛みを生じることもありますし、もちろん子宮筋腫などの婦人科的疾患による場合もあります。
そのため、生理痛の症状が強かったり、長く続いたりした時には専門医療機関での検査をお勧めします。

東洋医学的に見る生理痛の原因

「不妊と漢方」の項でも記述しましたが、東洋医学的には瘀血(オケツ)が関係していると考えます。

西洋医学的なホルモンの分泌異常は、瘀血のために子宮内膜に十分な酸素や栄養が行き渡らないことによって引き起こされているのかもしれません。
例えば、下り物にレバー状のドス黒い血の塊がでていたら、それは間違いなく瘀血からくる症状です。

では、その瘀血の原因は?と問われると、貧血や筋肉量の減少、骨格の歪みなどから引き起こされる「冷え」によるものであると言えます。

生理痛は狭心痛と同じ?

前述の通り、ほとんどの人の場合、体の「冷え」が痛みの原因です。
「冷え」いう言葉ではややマイルドに聞こえますが、少しオーバーに言えば「血流障害」なんです。

一般的に、血液の流れが悪くなると筋肉は拘縮し、完全に流れなくなると腐ってしまいます。
この反応が心臓で起これば、狭心症 → 心筋梗塞という変化になります。
ということは、極論を言うと、生理痛は狭心痛と似ているのかもしれません。
つまり、生理痛は子宮や卵巣の血流が悪いために引き起こされる痛みなのです。

ただ、子宮や卵巣では、心臓のように「完全に血液が流れなくなる」というような事はありません。
ですから、生理痛が原因で亡くなられるということは絶対にありませんのでご安心下さい。

でも、それぐらい体にとって良くないことだという認識をして下さい。

漢方薬の治療方針

専門医療機関では、精査して目立った異常が無かったら、鎮痛剤だけ処方して「とりあえずこのまま様子を見て下さい」などと言って診療を終了してしまうケースが少なくありません。

鎮痛剤は一時的に痛みを抑えることはできても、根本的な解決策にはなりません。
もっと根本的にある「冷え」を改善させる必要があります。

具体的には四物湯や当帰芍薬散などといった漢方薬が第一選択となる場合が多いですが、生理痛の随伴症状(イライラ感・胃腸障害・肩こり・のぼせ など)の有無によっても選択する漢方薬が異なります。


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