花粉症と漢方

花粉症の原因

日本人の4〜5人に1人が花粉症と言われています。
これは、もはや国民病といっても過言ではありませんね。
花粉症の原因は何かと訊かれたら、大部分の方が「花粉によるアレルギー反応」と答えられるのではないでしょうか?

花粉に限らず、ハウスダストやダニ、猫の毛など、体にとって異物(これをアレルゲンといいます。)が侵入してくると、我々の体は、それが体にとって良いものかどうかを判断します。
そこで、体がその異物を驚異とみなした場合、それを排除しようという働きが起こるのです。
(その反応にはIgE抗体やヒスタミンなどといった物質が関与しています。)
この防御システムのことを抗原抗体反応といい、それが病的な過剰反応となってしまった状態をアレルギーといいます。

つまり、花粉という異物に対して

  1. 「くしゃみで吹き飛ばす」
  2. 「鼻水や涙で体外に洗い流す」
  3. 「鼻を詰まらせて中に入れないよう防御する」

などといった反応が病的になった状態が花粉症です。

水毒(スイドク)とは?

「不妊と漢方」でも記述しましたが、東洋医学では、「血液の巡り」「水分の巡り」「気の巡り」を重要視します。
このうち、今回は「水分の巡り」について考えてみましょう。

「水毒」を辞書で調べると、「漢方医学において、人体に水分が溜まり、排出されないことによって起こるとされる諸々の症状のこと」と書いてあります。
血液と同じように、水分もリンパ液・関節液などで全身を隈なく巡っています。
我々は毎日水分補給(in)をし、尿として排出(out)することで体の中の老廃物を捨てています。
このinとoutのバランスが常に1対1なら体とっては±0でちょうどいいのですが、水分を多く飲みすぎたり、水分摂取量は普通でも尿量が極端に少なかったりすると、体の中に水分が蓄積してしまいます。
これにより「むくみ」が生じます。
「むくみ」は重力や血流の影響を受け、下半身や顔、指に出現しやすくなります。

また、リンパの流れが悪くなると、耳の中の三半規管のリンパ液の異常から「めまい」「耳鳴り」「耳閉感」などが生じたり、関節液の流れの異常から「関節痛」が出現したりします。
もちろん、前述の「くしゃみ」・「鼻水」・「鼻詰まり」も「水毒」の症状です。

東洋医学的に見る花粉症の原因

東洋学的には、体内に余分な水分が蓄積している人や、体内の水分の循環が悪い方(つまり「水毒体質」の方)が、花粉症になりやすいと言われています。
そのような人の口や鼻、気管などの粘膜の部分は、分泌物の材料(=余分な水分)が多い状態になっています。
材料が多ければ分泌物が多く産生されるので、結果的に多量の鼻汁が出たり鼻閉が生じたりします。
また、分泌物が気管を刺激することで、くしゃみも出やすくなります。

漢方薬の治療方針

花粉症に対する漢方治療では、体内の余分な水分を取り除く働きのある漢方薬を用います。
中でも特に、小青竜湯のような気道部分の余分な水分を取り除く働きのある漢方薬が著効する場合があります。

しかし、花粉症の症状は人により様々で、鼻水よりも鼻詰まり症状が強かったり、くしゃみが頻発したり、目の痒みだけだったりなどといった具合に、一括りにはできません。
それに、体内に余分な水分が蓄積したり、体内の水分の循環が悪くなったりする原因もまた人により様々です。
そのため、実際に診察して、現在の体の状態に合った漢方薬を処方してもらうのが一番効果的です。


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