更年期障害と漢方

「更年期」の名前の由来

「更年期」という言葉の意味って、なんだか分かるような、分からないような・・・そんな気になりませんか?

一見、中国の古典に記載されていそうなこの言葉は、実は日本の、しかも昭和初期の文豪が造った造語らしいのです。
辞書を調べると、「女性の成熟期から老年期へと移行する時期」と書いてあります。
医学的にも、卵巣からの女性ホルモンの分泌が低下することにより、様々な身体的・精神的変化が生じることが知られています。
「更」の付く熟語には、「更新」「更改」「更衣(室)」「更生」など、変化することに因んだものが多いです。

ということは、「女性が更なる変化を迎える時期」ってことなのでしょうか?

更年期障害の原因

更年期障害の定義を難しく表現すると、「更年期の女性に認められる、器質的変化に相応しない不定愁訴を主体とする症候群」となります。
つまり、「具体的な病気はないけれど、のぼせ・発汗過多・イライラ・抑うつ・頭痛・めまい・耳鳴り・・・などといった症状がみられる状態」を更年期障害と言うのです。

その原因としては、西洋医学的には90%以上が、(1)「女性ホルモンの分泌量の低下」であり、残りの数%程度で (2)「精神・心理的背景」や (3)「社会的背景」が関与していると考えます。 そのため、西洋医学的な治療方法では、ホルモン補充療法が第一選択となるのです。

東洋医学的に見る更年期障害の原因

西洋医学的な考え方に対し、東洋医学では、上記の(1)〜(3)それぞれが同等に影響していると考えます。
つまり、(1)「女性ホルモンの分泌量の低下」だけではなく、そこに (2)「精神・心理的背景」や (3)「社会的背景」が入り組むような状態になって症状が出現してしまうと考えるのです。

漢方薬の治療方針

俗に「三大婦人薬」と呼ばれる、当帰芍薬散・桂枝茯苓丸・加味逍遥散などが更年期障害に良く効く漢方薬であると言われています。

しかし、更年期障害の症状を見ると、「不妊と漢方」の項で記述した「瘀血(オケツ)」に関係した症状や、「花粉症と漢方」の項で記述した「水毒」に関係した症状など、その原因は多種多様です。
また、前述した(2)「精神・心理的背景」が強く影響しているのであれば、香蘇散のような心身をリラックスさせる効果のある漢方薬を処方することで症状が改善する可能性もあります。
「更年期障害」=「三大婦人薬」という固定観念にとらわれずに、現在の一番辛い症状の改善を目指した処方をするべきです。

「前医で上記の漢方薬を処方されたのに一向に良くならなかった」ということに心当たりのある方は、是非一度御相談下さい。


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