「漢方薬って何?」


この日記を読んでいただいている方は、
「漢方」に少なからず興味を持たれておられると思います。

では、「漢方」って一体何なんでしょう?

人によっては、「万能薬」のようなイメージを持たれるかもしれません。
或いは、
「効果が見られるまで時間がかかる。」
「本当に効くのかどうかわからない。」
「少し胡散臭い。」
などと思われるかもしれません。

僕は、「漢方」って何ですか?と聞かれたときには、
「自転車を乗る時、荷台のところを掴んで後ろから押してあげる力みたいなもの」
と表現しています。

「どういうこと?」と疑問を持たれると思いますが(笑)、つまり、
「自分で自転車を漕ぐ=自分の力で体の巡りを良くする」
ということで、漢方はそれを後ろからサポートするものだと考えています。

話が少しだけ逸れてしまいますが、漢方を解説している本を読むと、
「気(き)・血(けつ)・水(すい)」という言葉が必ず出てくると思います。
簡単に解説しますと、我々の体の中には、「気=気力」「血=血液」「水=水分やリンパ液」が存在し、それが川の流れのように体内を常に巡っていることで、健康状態を保っているのです。

もしこれらが停滞してしまうと、
清流の流れが悪くなると川全体が汚れてしまうように、

気力の停滞=イライラしたり、逆にやる気が起きなかったりする。
血液の停滞=酸素や栄養が来ないので、内臓や筋肉の働きが悪くなる。
水分の停滞=体のむくみなどの原因となる。

といった具合に、体の調子が悪くなります。

このように、体の巡りが停滞したときに 病気になりやすいと考えるのですが、
逆に考えますと、病気になったときは体の巡りを良くする必要があるのです。
体の巡りを良くするためには、自分の力で治さなければ意味がありません。

漢方の世界では、この「自然治癒力」を重要視します。
西洋薬のように、無理矢理 症状を改善させても、
薬の効果が切れてしまえば、また元に戻ってしまうからです。
漢方薬は、西洋薬とは本質的な部分で異なります。

すなわち、漢方薬が症状を改善させるのではなく、
自分の力で症状を改善させるための「後押し」的な役割をするのです。
だからこそ、「漢方」とは、「自転車を乗る時、後ろの荷台の所をつかんで押してあげる力」 なんです。(笑)

調子が悪いときは、自転車を漕ぐ体力が無い状態なので、
もし、後ろから押す力が弱いと、自転車は前に進みませんし、
逆に、後ろから押す力が強すぎると、その力に対応出来ずに、自転車は転倒してしまうかもしれません。

つまり、漢方薬は、誰もがみな同じ薬を飲めば治るということではありません。
どの漢方薬を用いるかは、服用される方の状態により左右されるのです。

そのため、当診療所では初診の方には通常の倍以上の時間を掛けて診察します。

その方の体質にあった漢方薬を処方することが、症状改善の近道なんです。

2008/7/10更新


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